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デジカメ 一眼レフ


 小さな表現者 OLYMPUS E-620その1(購入〜使い勝手)

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 2009年4月。EOS SYSTEMから本格的にE-SYSTEMに乗換えを進めるために、小型軽量一眼レフが欲しくなっていた。そこに突然、本当に突然登場したのがE-620。いわゆる「全部入り」をひっさげてやってきたこのカメラ。はたして、期待通りの小型軽量カメラになってくれているのか

箱から出したばかりのレンズキット。しかしこのまま…  
●購入−いきなりトラブル●

2008年年末、出るぞ出るぞといわれていたOLYMPUSのE-30が発売になった。自分としては2008年の春にE-3を購入し、システムをE-SYSTEMに乗り換えることを決めていたので、かなり食指が動いた。というのも、夕日を撮影するときの望遠と広角の2台システムを考えたときも、同じ操作性を持つE-3とE-30をペアにするのはかなり効率も良いからだ。

 ただ、その価格が思ったほど下がらないのと、大きさ重さもやはりE-3に準じるレベルになっているのでいまひとつ買うところまで行かなかった。もちろん、レンズ導入にお金をかけていたので先立つものがなかなか回らないという事情もあった。

 そうこうしている間に3月になり、いつもの年のE-520やE-420のパターンから行けば、今年もこの2台のリニューアルかな、と思っていたところに、E-620が発売になってしまった。いや、正直この機種はびっくりしてしまった。大きさ、重さから言えばE-520の後継機種が出るならそれでもOKかな、と考えていただけに、重さはE-520、大きさはE-420+アルファで、更にフリーアングル液晶が付いたこのE-620はかなり衝撃的だったわけだ。

 更にこれまでエントリー機種としては他社に遅れていたAFポイントも7点になり、ファインダーの大きさが少し小さいことを覗けば、不利な点はかなり無くなり、その分コンパクトで有利な点が目立つようになった。これはもう買うしか、ということで買うタイミングを計っていた。

 実際に購入できたのは5月の連休前。もともと梅レンズの14-42mmF3.5-5.6は持っていなかったので、この際なのでレンズキットを導入した。価格はこの時としては少し高めの8万円程度であり、これなら発売当初に予約して買った方がよかったのでは?となってしまったが、考えて見れば約6年前、初めて本格的なデジタル一眼レフカメラを導入したEOS10Dの時は15万円ぐらいかかっていたわけで、性能機能が大幅に上がっている(ファインダーだけはいまいちだけど…)E-620が半値程で、しかもレンズ付きで買えることを考えると、時代の流れを感じてしまう。

 バッテリーがこれまでE-3やE-330で使ってた蒲鉾型のBLMではなく、角餅型のBLSになってしまっているので、予備電池が無いこともあり、今回は珍しく予備電池も一緒に購入。予備電池を充電しながら、付属の電池を入れて(たいてい少しは充電状態になっている。そもそもOLYMPUSは充電に異様に時間がかかるので待っていられない…)、早速撮影をしてみた。

 本体は軽くてグリップが少し頼りないし、ファインダーはE-3やE-330と比べても少し見にくい感じがするなぁ。まぁ7点AFはしっかり見えるし、AFポイントのどこがセレクトされているかもちゃんと光って…光って…光り方がヘンだゾ????

明らかにスーパーインポーズの位置がおかしい  一瞬、覗き方やファインダーが少し見にくいことが原因かと思ったのだが、さにあらず。AFポイントの光り方がやたら弱い。E-510なんかは光り方が弱かったり一瞬だったりするので見にくいという話も聞いたことがあったので、今回もそうなのかな?と思ったのだが、あまりにも光り方が弱い。中央1点に固定して光らせてみても、どうも弱いし、よーく見てみると、中央だけでなく、下側のAFポイントも光っているように見える。ええええぇっ?

 これはおかしい、と思ってAFポイントを移動させてみて、その光具合を確認してみると、どうやら光の当たり具合がAFポイントの表示とずれているようで、中央ポイントで言えば中央とその下のポイントの丁度中間辺りが光っているように見える。本来AFポイントが無い点に「ぼうっ」とクラゲのような、ゴーストが浮いて見えるのだ。AFセレクトを自動にすると、セレクト画面ではすべてのAFポイントが光って見えるはずなのだが、あまり光って見えない上に、7匹のクラゲも同時に出現してしまう。

 むむむぅ、これはどう見ても不良でしょう。ということで、購入翌々日に購入店に持ち込んでみた。さすがの店員さんも「ああー、これはおかしいですねぇ。交換します」と言ってくれたのだが、なぜかこの時期に限って該当機種は売り切れ。当日は金曜日の夕方だったこともあり、メーカーにも連絡が取れず、大体機が到着したのは結局4日ほど跡になってしまった。結果としてまともに使えるようになったのは1週間以上後になり、その間にその店では限定ではあるものの、5千円ほど安価に売られるようになってしまった。くやしいぞ。

 さすがに交換した機種は特に異常は無く、きちんと使えるレベルではある。小型軽量の標準レンズ、ZD14-42mmF3.5-5.6とともに、ようやく小型軽量、E-620を満喫できる環境になった。やれやれ、である。


ぎゅっと握ると、親指と小指がはみ出す…  
●使い勝手−小さいことは良い…?●

 少し早く買いすぎたかな、と半分後悔しながら、それでもやはり新製品は楽しい、ということでウキウキしながら使い始めたE-620だが、やはり新製品、かつ初めてのE-SYSTEMの小型軽量機種ということもあってか、期待が思ったより大きかったのだろう。いざ使ってみると、どうもしっくりこない点が出てきてしまった。元々昨年の春から約1年間、E-3を使い込んできたこともあるので、体がそっちになじんでしまっているというのもあるかと思う。

 まずびっくりしたのがその小ささ。確かに小さくて軽いので持ち運びにはいいのだが、グリップ部分が思いのほか小さくて、とにかく指が余るのだだ。あ、字余り。高さが低くて、グリップ部分の厚みも無いということもあって、普通にグワシと握ると、小指+薬指の半分が余ってしまう。なんとか薬指を余らないように少し上を握ると、今度は親指の持って行き先が困ってしまうことがある。軽いのでレンズキットの小型レンズを使う分にはあまり困ることは無いのだが、手持ちの少し大きなレンズを使おうとすると、たちまち苦労してしまう。むむぅ。

 次に戸惑ったのがその電源ボタンの向き。これはE-4xxシリーズも同じで、特にE-620だけの特徴ではないのだが、左に回すとON、右に回すとOFFというのはこれまで使ってきているE-330と完全に逆向きの形になる。以前どこかで「なるほどな」と思える理由も見た気がするのだが、それでも自分の親指は「右に回せばON」と覚えてしまっているので、ついON/OFFを間違えて操作してしまうことも多い。慣れるまではかなり苦労しそうだ。

 各ボタンの位置は色々工夫してこの位置になっているのだろうとは思うし、結局はボタンを見て操作することも多いので悪くないと思う。むしろ、主要なボタンが光るのは結構ありがたい。先日蛍を撮影しに行ったときはかなり重宝させてもらった。ただ、これまたE-3と比べてしまうからなのだろうが、ボタン押下のフィーリングはやはりペナペナして安っぽい。押した感はちゃんとあるし、押せないわけではないので悪くは無いのだが、まぁこの辺は値段相応といったところか。

 特筆すべきはやはりその液晶画面だろう。E-30でなくこのE-620を購入した理由のひとつが、このHyper Crystal液晶 「III」にある。そのままではまぶしすぎるぐらいで、実際には明るさを少し落として使っているのだが、それでも屋外でも見えなくて困る、と感じることは少ない、というかまださほど試していないこともあるかもしれないが、違和感無く使えてしまっている。E-330E-3では屋外でのライブビューで苦労したことを考えると、やはりこの液晶があってこそ、ということだろう。というか、E-330やE-3の液晶をコレに交換してほしいぞ

 フリーアングル液晶そのものは、よくぞこの大きさに収めました、というところだろうか。これがあるのと無いのとでは撮影の幅がぜんぜん違ってくるし、とにかく遊べるデバイスであることには違いない。数ある一眼レフで「自分撮り」がこんな風にできるのはこのシリーズならでは、かと思う。NikonからD5000も出てきたが、三脚に乗せて前から画像を確認しながらリモコンで撮影できるのは、やはりE-シリーズならでは、だ。

 面白いのは後述するファインダーの見難さを改善する方法として、液晶を完全に外に追いやって、そこに鼻の頭を突っ込む方法があることだ。液晶画面をカパッと左側に広げると、ボディが液晶の分だけへこんでくれるので、ファインダーを覗くときにかなり楽になるのだ。E-3ではファインダーが良かったのでさほど気にならなかったが、E-620だと便利に使えることがある。このフリーアングル液晶、まだまだ面白い使い方ができそうな気がする。


小さなペンタミラー部。見え味もそれなり…  
●ファインダーはネックか?●

 このE-620を覗いてみて一番最初に思ったのは、ファインダーが思ったより見にくいということだ。ファインダーの倍率はE-330と比べると0.93倍に対して0.96倍と、ほんの少しの違いしかない。が、視野の大きさだけを比べると明らかにE-330より大きく見える。

 その大きい画像はいいのだが、その分視野周辺部や、画面下の情報がすごく見にくいのだ。裸眼で覗くのであればおそらく問題ないレベルなのだが、眼鏡を使用している自分の場合はアイポイントが短すぎるようだ。顔をカメラに押し付けて覗き込むようにすればちゃんと見えるのだが、画面下にある絞り等の情報をちょっと見たい、という場合でも少し苦労することになる。

 E-330では右側に情報があるので更に見にくいと思ったのだが、比べて見るとE-330のほうが明らかに画面隅々まで見えるし、情報も見やすい。ええっ?じゃあアイポイントは短くなってしまっているのか?と思ってカタログを比べてみると、カタログ上はアイポイントは同じ18mm。とても同じには思えないのは眼鏡をしているからだろうか。なんか違うぞ。

 この辺をカバーするためには裸眼で覗くか(近視の度がキツイ私的にこれは不可)、ライブビューでカバーするか、前述した「鼻の頭を液晶部分に突っ込んでアイカップに目を押し付ける作戦」を決行するか、だ。ファインダー倍率を上げるためにマグニファイヤーを付ける人もいるらしいが、この状態では私には無理。

 そもそもE-330ではファインダー倍率が小さかったということもあるが、ある程度AFを信用してファインダーでしっかりピント合わせを確認した、ということは少なかったように思う。これがE-3をメインに使うようになると、ファインダーが大きくてしっかり見えるし、そうしたピント合わせがシビアな対象を撮影する機会が増えたこともあり、ファインダーの見え味がかなり気になり始めた。

 そうした状況で購入したE-620、どうしてもE-3と比べてしまうのだが、やはりファインダーでピント合わせを確認しようとするとかなり苦労してしまう。E-30なんかではモノによってファインダーに不具合もあったようで、もしかしたらE-620も?と思わせるぐらいいまいち感が漂ってしまうのだ。

 普通にスナップを撮影する分にはこんなもんだろう。視野率もE-3の100%に慣れてしまうとちょいと物足りないけど、その辺はデジカメなので再生画面を見たり、強力になったライブビューを見たりすればかなりのカバーはできる。そもそもE-3以外のカメラではファインダーは100%ではなかったわけで、今までの慣れたファインダーに戻ったと思えば変な感じはしない。

 が、具体的な表現は難しいのだが、「何か」が違うのだ。E-330だとファインダーを覗いていても疲れないのに、E-620だと細かい点を見ようとするとすごく疲れる。視度調整をきちんと行っていても、だ。どうもミラーの精度が悪いのか、画像がいまひとつはっきりしないような気がする。中央部と周辺部でピントが違うのもそのひとつだろう。E-330だとダハミラーで全面反射を繰り返しているだけ(だと思う)なのだが、E-620などのペンタミラーだと精度が必要なのかもしれないし、もしかしたら小型化のための接眼レンズの問題で見難いのかもしれない。

接眼部は覗きやすいとはいえないが、AELボタンは比較的押しやすい  いずれにせよ、このファインダーで細かいピント合わせをしようとすると萎えてしまうのは確かだ。E-620を使う前は、よくWebでE-4xxに対して、「この筐体にE-3のファインダーを!」という話を良く目にしていたが、「ふうん」程度にしか思わなかった。が、実際にE-620のファインダーを見るとやっぱり「この筐体にE-3のファインダーを!」と思ってしまう自分がいる。ことファインダー画像に関しては、E-330以後、E-3桁機は少々後退しているといえるのかもしれない。

 後はおおむね使いやすいかな、というか使いにくくは無いという範囲に仕上がっていると思う。E-330のときと違ってライブビューが前面に押し出された形ではないため、親指の位置にちゃんとAEL/AFLのボタンがあり、設定でこのボタンをAFに割り当てることができる。E-3ではこのボタンがかなり奥まった位置にあるため少し深めに握る必要があるのだが、E-620だと割りと自然に指が届く

 話はずれるが、この「親指AF」、一眼レフに精通した人にとっては比較的「常識」に近いところにあると思うので、そうした人に説明するのは難しくないのだが、いざ飲み会やイベントとかで集合写真を「撮ってもらう」状況になると、普通の人はまずAFを動かすことができない(さっと説明できるレベルには無い)。このため、そうした場合にはボタン設定の画面を開いてAFボタンの変更をMODE1に戻さなければならなかった。これがかなり面倒だ。カスタムリセットやMyMODEで設定できればいいのだが、そうした設定は保存されない。

 が、最近気がついたのだが(もっと早く気づけよ)このボタン設定は、AFモードがS-AFか、C-AFか、はたまたMFかによって変更できるのだ。肝心なのはモードがMFでもAFLボタンを押すとAFが利く、というところか。

 ということで、最近の設定は「MF」と「C-AF」ではMODE3(AELボタンでAForAFスタート)。S-AFではMODE1(シャッター半押しでAF)という設定にしてある。普段はMFもしくはC-AFで使って、他人にお願いするときはS-AFにする、というわけだ。これなら切り替えはAFモードの切り替えだけで済むので、ボタン一発。かなり簡単だ。ほぼ全てのレンズでAFとMFがシームレスに使えるOLYMPUS E-SYSTEMならでは、という気もする。

 が、実はここまでの話も「半押し」ができる人に頼む、というのが前提である。世の中にはそうしたこともできない人(カメラをあまり触ったことが無い人)もいるわけで、先日お願いした飲み会の集合写真では、シャッターを切ることができなかったり、全くピントがあってない写真になってしまったこともあった。トホホ。こういうときはリモコンでも持ってきておいて、とりあえず「持っておいてもらう」人に徹してもらう方がいいかもしれない。三脚があればそれがいいんでしょうが、かさばるもんなぁ。

 閑話休題。カーソルキーは多少使いにくいが許容範囲。後はグリップだろうか。前回書いてからしばらく使っているが、この辺は慣れの範囲で、ボディが軽いだけに使いこなしで大きなレンズを付けるときにだけ注意しておけば何とかなることがわかってきた。もっともっと使いこなせば、もっともっと便利になりそうである。





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